「いただきます」から始まる、わたしの仕事。

「さぁみんなで新事業を考えよう」
社員研修で熊本に集まった日。
私たちは自分たちがやりたい新事業について話し合いました。
マルシェ開催、アパレル事業、
キッチンカー、畑を始めたいという声まで。
普段から夢やアイデアが飛び交う会社です。
ただキッチンカーをして収益を求めるだけではなく、
その収益で保育園に赴き、料理を振る舞って、
食育の大切さやサービスを体験してもらう。
そんな話を、nanoの創業者である会長としたことがあります。

その話を思い出したのは、今朝のこと。
今日の宴会準備をしている最中に、突然の依頼がありました。

「今日の宴会のマナー講座、急遽先生が体調不良で、代理で講師をしてくれないか」

正直、驚きました。
講座開始まであと2時間。準備は何もできていない。

でも同時に、
あのとき“夢”として語っていたことが、
現実になりはじめた瞬間でもありました。

あ、これはきっかけかもしれない。

私たちnanoには、ひとつのミッションがあります。
── 人にきっかけを創る会社であること。

職種や役職に関係なく、
誰かの背中をそっと押したり、
「やってみたい」を形にするチャンスを届けたり、
新しい価値を生み出すこと。
事業は利益や成果だけでは成立しない。
関わる人の人生や感情まで含めて、
きっかけを生み出せるかどうか。
そう思っていたはずの私は、
いつも通り会長に電話して作戦会議を始めました。

そして迎えた本番。
子どもたちの前に立ち“マナー”について話してみると…。

「いただきます」と「ごちそうさま」の意味を知って
目をまんまるにする子がいました。
「おやさいも、いのち……?」と
小さな声でつぶやく子がいました。
苦手なにんじんに“ひとくちチャレンジ”して
涙目になりながらも頑張る子がいました。
ナイフとフォークの持ち方がうまくできなくて、
「むずかしい〜!」と笑いながら何度も挑戦する子もいました。

私は届けたかった“きっかけ”よりもっと大きな“気づき”を、
逆にこちらがもらっていたような気がします。

子どもたちを見ていると、
できないことに当たり前に挑戦していくこと。

誰かの喜ぶ顔を想像して、まっすぐ前を向こうとすること。

その姿に、
「きっかけを創る会社」なんて言いながら、
結局いちばん“きっかけ”をもらっているのは
いつも自分の方だったと気づきました。

私は思います。
仕事とは、誰かを喜ばせるためにするもの。
そして、その過程で自分の人生を豊かにしていくもの。

今日、子どもたちが教えてくれたことは、
夢の原点であり、働くことの意味でした。

あの日会長と話した“夢のような話”は、
もう夢ではなく、
現実に向かうための最初の一歩だったのかもしれません。

子どもたちを見て、
私は少しだけ、初心に帰れました。

きっかけは、突然やってきます。

完璧じゃなくても、準備不足でもいい。
目の前に現れたものに、飛び込めるかどうか。

今日、私は飛び込みました。
そしてまた、ここから。
きっかけが未来へつながりますように。
この一歩が、誰かのきっかけになりますように。
そして、また次のきっかけに出会えることが私の人生の楽しみです。