「結婚式の仕事のやりがいは何ですか?」
「結婚式の仕事のやりがいは何ですか?」
学生さんによく問われる質問です。
結婚式はおふたりにとって一度きりのイベント。
人の人生に深く関わる仕事だからこそ、準備期間は長く、ときに心が締め付けられるほど苦しいときもあります。
結婚式という失敗が許されないプレッシャーの壁にぶつかり、何度も迷い、悩み、立ち止まる瞬間がありました。
でも、そのすべてがあるからこそ、あの瞬間が忘れられません。
新郎新婦の笑顔に、おふたりを見守る家族の涙に、ゲストの温かい拍手。
目に見えるものすべてが、言葉にできないくらいに、心を爆発的に揺さぶる瞬間になるのです。
苦しさの先にあるこの瞬間を知っているから、
——— 何度経験しても、この仕事から目が離せない。
疲れも迷いも、すべてを忘れさせてくれる
豊かな時間。
結婚式に携わる人にとって、それは逃れられない、でも最高に幸せな“沼”なのです。
そして、この仕事をする中で
最近ゲストから言われた言葉があります。
——— 無駄がない綺麗なエスコートだった。幸せな時間をありがとう。
「無駄をつくらない」
私が結婚式に携わるうえで、常に意識していることです。
立ち居振る舞いも、時間の使い方も、すべては主役であるおふたりのため。
私たちに視線が集まることなく、おふたりが思い描いた時間が自然に流れていくことこそが理想だと考えています。
一方で、同じ「無駄」に見えるものを“豊かな時間”に変えることも大切にしています。
料理を提供するわずかな時間。
料理を彩る説明に添えるひとこと。
お客様と交わす何気ない会話。
一見すると流れていってしまうようなこの一瞬が、
心に深く刻まれ、一生の記憶になることがあるのです。
だからこそ、私たちは「無駄をつくらない」ことと「無駄を豊かに変える」こと、
その両方を心がけながら、一つひとつの結婚式に向き合っています。
「なんのために働くのか。」
お金を稼ぐため、プライベートを充実させるため。
きっと誰もが様々な未来を思い描きながら、働いているのだと思います。
もちろん、私もそうです。
けれども忘れてはいけないのは、働く“直接の想い”。
結婚式に携わる仕事とは、何よりも 人を喜ばせること。
その一瞬一瞬に全力を注ぐからこそ、
私たち自身もまた、人生を豊かにする経験を積むことができます。
だから今日も、目の前の一組に心を尽くし、
かけがえのない時間を共に創り続けています。